いよいよ飾プロジェクト 『Are you wearing clothes?』 が2週間後にはじまります。
『服着てる?』 少々ふざけたタイトルのようですが、童話、裸の王様からタイトルの着想を得ています。ですが、今回のタイトルのニュアンスは「自分の心に素直になれている人は、この世にはいない」という前提に立ち、それでも心が素直で眩しい人を目の前にした時、あの人、服着てる? 着てないよね? 信じられない! すごい! というポジティブな意味合いでの、「服着てる?」です。大人になると自分をよく見せようとしてしまうものです。それが決して悪いことではないのですが、素直に自分らしくいるというのはやはり素敵なものだと思います。
僕はこれまで、様々なものや、人、ジャンルと共作をしてきました。いろんなご意見を頂き、なにがやりたいのか解らないというお声も頂くことしばしば。ただ僕は決して共作がしたいということではないのです。演劇というのは、言葉、身体、音楽、空間、etc.etc セパレートすれば、それぞれ単体で立派に表現芸術が成り立つものを内包していてですね、それらが共に混然一体となっている。つまり、演劇というのは共作が前提であり、むしろそれこそが原始的な演劇体験の醍醐味だと思うのです。総合芸術と呼ばれる所以はここにあるのでしょう。
では僕はなにをしていたのか。純粋にその瞬間に出会った驚きや喜びに手を伸ばしただけなのです。なぜこんなに面白いんだろう、なぜこんなにも心が揺さぶられるのだろう。触れてみたい。その一心で、今回の努力クラブとの企画も始まりました。
いつも答えなど見えてはいません。解らないことに手を伸ばすということ、その一点です。そのことはアーティスティックな話に限った事ではないのです。隣にいるこいつムカつくなとか、家族と上手く関係できないなとか、日常でも転がっている小さな解らないということ。これらにだって、十分適用できる感性だと思います。その結果、解り合えなくったっていい。重要なのは、過程なのです。それがもっと柔軟にできれば、今、社会問題になっている隣国との摩擦も、もう少し違ったものになっているのではないでしょうか。
努力クラブのみなさんは、本当に今回、勇気が必要だったと思います。まったく知らない相手と知らない土地での共同作業など、怖いだけでしょう。それのみならず、書くということに従事されている方がもしこれを読まれていたら、今回の共作台本で採用されている方法がどれだけクレイジーなことかもお分かりになるかと思います。なにがあっても信頼する。ということなくして、前に進むことはできないのですから。
最後に、この企画に手を挙げてくれたすべての方々の勇気に敬意を表します。そして、アメイジングをご用意して、劇場でみなさまとお会いできるのを楽しみにしております。
佐々木透
リクウズルーム×努力クラブ
合同公演 飾『Are you wearing clothes?』
8月5日(土)〜13日(日) 於 こまばアゴラ劇場