佐々木透


大阪レポート 

(2015.09.9)

〜大阪生まれ大阪育ちの佐々木、3年ぶりに故郷へ。アート事情を探るべく、3日間街を歩き回る。〜

○再開発の大阪駅周辺
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2015/8/30大阪駅に降り立つ。ここから自宅までは市バスに乗って、守口車庫前行に乗り毛馬橋まで行くか、市営地下鉄の谷町線で都島駅に行くか、JR環状線、桜ノ宮駅に行くか、この三つの方法がある。しかし、戻ってくるたびに大阪駅周辺が再開発されて、すっかり様変わりしている。大阪生まれ、大阪育ちのくせに大阪に住んでないからこんなことになる。

*ぶたまん 今回の帰省の目的は、自分の知っている古い大阪の情報を更新させることだ。とか、なんだとか偉そうなこと言ってるそばから、551食べたいな、やまもとのネギ焼き食べたいな、おんちのうどん食べたいな、と、食欲ばっかりが先行してしまう。なかば無意識に、いや、無意識を装い、だって大阪人やもーんと開き直りながら阪急百貨店に吸い込まれていき、いつも立ち寄る551蓬莱の出店に向かう。が、無かった。諦めきれず、阪急電車の梅田駅構内に店があることを突き止め、入場券を買い、豚まんにありついたのである。懇意にしていた蓬莱の店が無くなっていた。一つ、大阪情報の更新完了。

○劇的時空
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*ギャラリー

2015/8/31 自転車で、梅田に向かうことにした。かつて、大阪に住んでいたころ、この梅田へは自転車で出かけることがほとんどだった。キタと呼ばれる中枢地域のほとんどが自転車で事足りる距離にあった。在阪の頃の記憶を辿りながら、ペダルを漕ぐ。案外覚えてるもんだ。ここを突っ切れば、毎日放送と梅田芸術劇場のところに出てくる。と、そのまさに道中に《天人》はあったのだ。

《天人》の経営者は、ご自身もアーティストとして活動されているらしかった。この方が、この梅田の少し外れの長屋街の一画を、アトリエや、カフェにして、アーティストに貸し出しているらしかった。あいにく、その方はインドネシアに行ってるらしくお会いすることは叶わなかったが、名刺と、カレーを食べて、その場をあとにした。すぐ近くにはビル群が立ち並ぶ中にある長屋街。ここからまたインドネシアという予想外のワードと出くわすとは思いもよらなかった。まだ見ぬ、インドネシアに思いを馳せていた。梅田への抜け道の長屋街の一画がアーティストが出入りする場が出来ているというのは、情報更新としては実によい収穫だった。

○近所の創造

2015/9/1 創るということ。そういうことをダイレクトに考えようぜとなって、その名も創るってことです。と、称した、創る、のご本尊のような場所がなんと、僕の育った地域にあるっていうじゃないですか。《芸術創造館》。在阪中にはもちろんありません。だって、僕が上京してからできたそうなので、そりゃ知る訳がない。大阪人から東京人に変身して、十余年、こんな素敵施設が大阪にしかも近所に創造されていたなんて。
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*げいそう

東京での活動団体で、懇意にさせてもらっている、水素74%とか、sons:wo とか鳥公園とかが、みんな、この芸術創造館で創造しているというではないか。ここは一つ、地元の僕が、この館に足を踏み入れていないのは大変に奇妙なことだ。ってんで、アポを取り、担当者とお会いし、いろいろお話をさせてもらうことにした。花巻さんという担当者が気持ちよく迎えてくださり、様々な大阪の現状をお話くださった。大阪は大阪都の選挙において、様々、揺れていて、芸術創造館の運営にも少なからず影響があったとの話だ。僕は、大阪がよりよい方向にいってくれればいいと思ってはいるが、それが果たして大阪都なのかというのは、未だに答えは出ていない。けれど、大阪に在住されている方は、選挙という正当な方法で、大阪都にNOを出したのである。創造と破壊。僕らは常に、その只中にいて、物事を価値判断し続けている。そんな嵐のような時間の流れの中、花巻さんの笑顔は、舞台芸術、音楽、そういった表現、人間の根源的な創造性を愛する普遍的なものだった。それに僕はいち大阪出身の人間として、何かを残したいという想いを強くした。帰り際に、ご一緒に何かできればよいですね。と、お声掛けしていただきお見送りくださった花巻さんの姿が今でも鮮明に残っている。なにより地元で情報が更新されるのは大事件であった。

○帰京
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*喫茶 2015/9/2 午前中は、大阪城公園をぶらつき、その足で、駅弁を買って、新幹線に乗った。2時間半後には、東京に着く。近くて遠い、遠くて近い。距離ってのはなんだろうか。

その答えは、様々な国や地域に立ち、そこから見える考え方や、景色の数を増やすことで、自然と身に備わってくることかもしれない。芸術創造館からの帰宅途中に見た、喫茶店《喫茶大阪》という名前の意味を理解するにはもっと修行がいるなと感じた。大阪にある、《喫茶大阪》店主がどんな想いを抱き、店名をつけたのか。大阪と称するほどの喫茶店としてのアイデンティティーがあるのだろうか。そして次に訪れた時、ここがどうなっているのか。その情報更新をすることができたら、創り手として幸せなことである。そして、東京にはきっとないだろう、《喫茶東京》なるものは。

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